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CanJamなど海外イベントで「おもしろヘッドホン」発見! Meze Audio新作ほか佐々木喜洋が注目したアイテム5つ

世界初の駆動方式やスピーカー変形アイテムまで

佐々木 喜洋
2026年3月31日更新
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    佐々木 喜洋

日本ではまだ知られていない、海外の最新ヘッドホン事情をお伝えする不定期連載。HeadFiとも親交があり「CanJam」など海外イベントなどを定期的にウォッチしているテクニカルライターの佐々木喜洋さんが、知っておきたいユニークな「おもしろヘッドホン」をご紹介します。

Meze Audio「ASTRU」| チタン筐体の新フラグシップイヤホン

はじめは海外通の方には知られたヘッドホン・コミュニティ「HeadFi」の話題です。3月7日と8日、アメリカ・ニューヨークにおいてHeadFiの大きなイベント「CanJam NYC 2026」が開催されました。この”Can”というのは英語のスラングで、ヘッドホンの意味です。”Jam”はセッションなどの意味なので、つまり日本でいう「ヘッドフォン祭」や「ポタフェス」のようなイベントです。その中から面白そうな新製品をいくつか紹介しましょう。

今回のイベントでは、日本でも販売されているCampfire Audioや64 Audioからは残念ながら新製品の発表はありませんでしたが、日本に紹介されているブランドではMeze Audioが新製品を発表しました。イヤホンとしてはフラグシップモデルとなるMeze Audio「ASTRU(アストル)」です。

  • カナル型イヤホン
    Meze Audio「ASTRU」

Meze Audioはデザインと音質のバランスが取れたヘッドホンが好評のブランドですが、イヤホンは現在、エントリークラスの「ALBA」しかラインアップにありませんでした。しかし、今回発表された「ASTRU」は米国価格899ドルというハイエンド・イヤホンです。

ドライバーは10mmシングルダイナミックで強化プラスチックをベースにした複合材コートの振動板を採用しています。筐体も切削加工されたチタン製です。付属する3.5mmアダプターのデザインが美しいのもMeze Audioらしいところ。

HeadFi主催者のJude氏も紹介動画の中で「Mezeが目指したマルチドライバーに匹敵するシングルドライバーという目標は十分に達成されている。ALBAも価格以上だったが、ASTRUも価格以上のものがある」と語っています。Meze Audioを輸入する完実電気に問い合わせたところ、日本でも発売予定とのことで、シングルドライバーでハイエンドに挑む期待の製品です。

  • チタン筐体らしく装着した姿も美しいです。

écoute「TH2」| 真空管アンプを搭載したワイヤレスヘッドホン

最近日本でもワイヤレスのハイエンドヘッドホン人気が再燃していますが、そのカテゴリーでユニークなのがécoute(エキュート)「TH2」です。

これはJH Audioなどの販売担当であるAndy Regan氏が手がけた製品で、ヘッドホンに真空管を採用したデュアル・モノアンプが内蔵されています。真空管は省電力な真空管として知られるコルグのNUTUBEです。まるでレトロSFみたいなオーディオ近未来ガジェットと言えます。音がほんのり温かくなるあの真空管の雰囲気を持ち運べる、オーディオアンプ付きヘッドホンとしてユニークな製品です。価格は999ドル。単純計算すると約16万円前後になります。

Lily Audio 「Genesis One」| 謎のクリスタル駆動を行うヘッドホン

ヘッドホンでもうひとつユニークなのはLily Audio 「Genesis One」です。世界初の「クリスタル駆動(CrystalCore)」ヘッドホンとメーカーは呼んでいます。ドライバーを見てもこれが動作するのが信じられないほどシンプルな形状で、従来のコイルやマグネットはありません。

磁石もコイルも使わない未知の方式ですが、仕組みはなんらかの結晶体の伸縮作用を用いて、より大きな振動板を駆動するピエゾ型に似たドライバーの駆動方式と考えられます。ピエゾ型とは素子が電圧で伸び縮みして音を出す方式のことです。ピエゾ型にしても普通はイヤホンのトゥイーターに使われる程度なのが普通ですから、これだけ巨大なドライバーは前代未聞です。

マグネットもコイルもないのに音が出るなんて不思議感覚ですが、怖いもの見たさも含めて試してみたい注目のヘッドホンです。

IKEA「KALLSUP」| 100個も繋がるパーティースピーカー

次に年初に開催されたCES2026での発表から、筆者が注目したユニークなヘッドホンとスピーカーを2点ほど紹介します。

まず日本でも人気のインテリアブランド、IKEAが発表したワイヤレススピーカー、IKEA「KALLSUP」です。これはシンプルなキューブ状のスピーカーで、価格はわずか10ドル、日本円で換算すると1600円程度と低価格ながら、複数台の接続に対応。公式には最大100台接続とされているユニークな製品です。

おそらく複数集めてもAuracastのような高度なリンクまではできないと思われますが、低価格で複数台そろえやすく、同時に再生することでパーティーを盛り上げられるような使い方が楽しめるスピーカーでしょう。正直、100台つなぐ人はいるのか気になりますが、部屋いっぱいに並べたらどうなるのか試してみたくなります。

TDM 「Neo」 |ひねるとスピーカーにトランフォームするヘッドホン

もうひとつは変わり種で、一台でワイヤレス・ヘッドホンとワイヤレス・スピーカーの2通り楽しめるというTDM 「Neo」です。

ユニークなのは、ひねることで「変形」できるという点です。つまりスピーカーをひねるとヘッドホンに変身し、もう一度ヘッドホンをひねるとスピーカーになります。ひねるだけでヘッドホンからスピーカーになるという、まさにトランスフォーマーのような面白ガジェットです。ドライバーはヘッドホンとスピーカーでは別々に搭載されているようです。

面白ガジェットというだけではなく、バッテリーの再生時間がヘッドホンモードで200時間(公称値)と、一般的なワイヤレスヘッドホンの10倍近くあるのも注目です。200時間再生はさすがに二度見する数字ですが、スピーカーモードでは8時間なので、スピーカーモードに合わせた結果、ヘッドホンではすごく再生時間が増えたということでしょう。Kickstarterでの価格は229ドルです。

◇◇◇

2026年はまだ始まったばかりですが、個性的なヘッドホン&スピーカーがたくさん登場しています。まだ日本ではお目にかかれないものが多いですが、中でもMeze Audio 「ASTRU」は3月20日からの世界発売が決まっていて、日本でも準備ができ次第発売される見込みです。チタン筐体の高級感とシングルドライバーの自然な音に期待が高まります。

一方で、真空管内蔵のécoute 「TH2」や、魔法のようなクリスタル駆動のLily Audio 「Genesis One」、そしてひねるだけで変身するTDM 「Neo」、これらの製品は日本では代理店はありませんが、Kickstarterでキャンペーンをしています。気になる人はそちらをご覧ください。

安価で100台連結できるIKEA Kallsupは、4月発売予定なので日本での発売を期待です。パーティーで大量に並べたらウケるでしょう。今後もユニークな製品が続々と登場することを期待したいものです。