去る5月16、17日に中国の深センにて、第三届深圳国際耳机展(THE 2026 CHINA SHENZHEN INTERNATIONAL HEADPHONES EXPO)が開催されました。ここでは現地に足を運んだFitEarの須山慶太氏に、ポータブルオーディオ全体における中国の立ち位置について解説いただきつつ、イベントの様子を寄稿いただきました。(編集部)

- イベント会場の深圳コンベンション&エキシビションセンター。高いビルが立ち並ぶ深センの中心地にあります。

- 会場の中に入ると熱心なファンが集まっていました。
CONTENTS
・かつてのポータブルオーディオの発信地とは?
・現在の発信地、中国ではマニアも育っています
・フォーラムが中国の大都市で「CIHE中国国際ヘッドホン展」を開催
・会場の様子はフォトレポートで紹介!
かつてのポータブルオーディオの発信地とは?
出先で気軽に、自分のスタイルに合わせて楽しむポータブルオーディオ。スマートフォンと完全ワイヤレスイヤホンの組み合わせがメインストリームですが、イヤホン、ヘッドホン、デジタルオーディオプレイヤー、ケーブルを組み合わせて自分の好みを追求する深い趣味性も併せ持ちます。
その主要な発信源は、ソニーが元祖ポータブルオーディオ「ウォークマン」を生み出した地であり、オーディオテクニカ、JVCケンウッドといったエントリークラスからハイエンドまで網羅する大企業から、静電型ヘッドフォンで確固たる地位を築いたSTAX、エントリークラスからハイエンド製品まで国内外で高い評価を持つfinalなど、その長い歴史の中で数多くの優れたメーカーを擁する日本が挙げられます。

- ソニーのウォークマン第1号機「TPS-L2」
ムーブメントの初期からインイヤーモニター(カナル型イヤホン)を牽引してきたShureや、平面磁界駆動型ドライバーを採用した高音質ヘッドホンで知られるAudezeやDan Clark Audio(MrSpeakers)、革新的なポータブルヘッドフォンアンプでヘッドフォン、イヤホンの音質的な可能性を広げたRay Samuels Audio、カスタムイヤーモニターの世界ではULTIMATE EARSやSensaphonicsなど伝説的なメーカーが存在するアメリカも重要なエリアでしょう。

- 1997年に発売されたShure初のイヤーモニター「E1」
1924年創業のbeyerdynamic(ドイツ)に1945年創業のSennheiser(ドイツ)、1947年創業のAKG(オーストリア)といった業務系からコンシューマーマーケットにも拡大した老舗メーカー、立体的な奥行きの再現を狙ったS-Logicテクノロジーを有するULTRASONE(ドイツ)、美しいデザイン性と素晴らしい音質が調和した製品群が高く評価されるMeze Audio(ルーマニア)など、歴史と革新による多様な製品を生み出すヨーロッパメーカー群も見逃せません。

- ULTRASONEのハイエンドライン“Editionシリーズ”で、日本でも高い人気を誇る「Edition8」。
現在の発信地、中国ではマニアも育っています
これらに加え、現在非常に重要なポジションを得ているのが中国です。長年にわたる国外企業の製造受託を行い、OEMからODMへと移行する中で技術と独自ノウハウを蓄積、自社ブランドを立ち上げるメーカーが数多くあります。また上海、広州、北京、成都などの大都市ではポータブルオーディオを楽しむユーザーも多く、専門店も数多く存在します。製造と消費が一体となることで、製品の進化速度も非常に速いといえます。
ユーザー間の交流、情報交換はオンラインで活発に行われていますが、その中でも「ヘッドフォンフォーラム」(耳机大家坛/ERJI.NET)は中国最古の専門フォーラムとして中国国内のオーディオマニア(焼友)にとっての「聖地」となっています。

- 中国のヘッドフォンフォーラム「耳机大家坛/ERJI.NET」
2002年には、ヘッドフォンマニアである陳然氏によりオンラインディスカッションのためのフォーラムが設立されました。初心者向けの入門エリアから、ハイエンド機器、アンプ、リケーブル、電源に関するディープな議論までを網羅しています。

- フォーラムを設立し、今回のイベントの主催者である陳然氏。
また日本でもよく知られるFiiO、SHANLING、Cayin、qdc、水月雨(MOONDROP)、DUNUなどのメーカーを始め、数多くの中華オーディオブランドがヘッドフォンフォーラムに公式アカウントを持ち、フォーラムを通じて製品発表や自社製品ベータテスターの募集、ユーザーサポートを行うなど有機的な活動が行われています。
フォーラムが中国の大都市で「CIHE中国国際ヘッドホン展」を開催
もうひとつの大きな特徴として、ヘッドフォンフォーラムでは上海、成都、深圳、南京、北京、武漢、広州の各都市で大規模なポータブルイベント「CIHE中国国際ヘッドホン展」を開催しています(2026年には昆明で小規模なイベントも開催予定)。
2014年、広州で始まったこのイベントは、ポータブルオーディオの楽しさを共有し広める場であると同時に、メーカーとユーザーが直接交流できる機会を作っています。各出展社の新製品だけでなく、開発中のプロトモデルが出品されることもあり、来場者の声を活かした製品開発の場ともなっています。
2026年5月16日、17日の二日間、深圳コンベンション&エキシビションセンターで深圳国際ヘッドホン展が開催されました。同センターの7号館(約7,500㎡)をフルに使った同展示会の会場規模は前年開催の3倍となり、中国内外の228ブランドが出展。各社の最新製品はもちろん、開発中の製品やコンセプトモデルの出品も多く見られました。

- 展示会全体の様子。特設されたメーカーのブースが立ち並びます。
ユーザーを楽しませるためのイベントや企画もあり、毎回ユーザーのお楽しみは出展社から提供される製品の抽選会。またコスプレイヤーによる撮影会や販売店によるイベント記念の特価販売ブースもあり、二日間でも回りきれない充実した内容となっています。

- 特価販売のブース。

- 出展メーカーの一覧。(拡大してみてね!)
また深圳のある珠江デルタ地域は製造メーカーの集まる地域でもあり、広州、東莞、恵州、珠海ほか近隣の企業が数多く出展しているのも深圳国際ヘッドホン展の特徴。それゆえコンシューマー向けの展示会であると同時にBtoBの機能も持ち、3Dプリンターや開発製造現場向け音響測定装置のメーカーの出展もありました。

- B to B向けのブースも用意されていました。

- 最新の3Dプリンターの展示も!
会場の様子はフォトレポートで紹介!
駆け足ではありますが、以下、会場の様子をレポートします。少しでもその雰囲気を感じてもらえれば幸いです。

- 日本でも人気な水月雨ブースの様子。

- 水月雨の注目展示は片耳24ドライバーを搭載する有線イヤホン「Armature Art 24」。

- 水月雨の社長である鄭 瀚鵬氏。手に持っているのは未発表の完全ワイヤレス用のDACアンプ「EVO 2」。

- 煩雑な会場ということもあり、簡易的な防音ボックスも用意されていました。日本にも導入してほしい!

- 日本でも人気のHibyも大きなブースを構えていました。

- DUNEはCyainと共同でブースを構えていました。日本で未発表のDUNUのヘッドホン「MORTISE」も。

- 日本未発売のブランド「Misiom」のブース。

- こちらも日本未発売のブランド「VAYAELF」のブース。

- KISER社の美しいカーボンシェルカスタム。

- SHALINGの35周年を記念したフラッグシップCDプレーヤー「CD-T35HP」

- Summer audioの開発中のプロトモデルも展示されていました。

- 会場ではレコードの販売もありました。
