ドイツらしいクラフツマンシップが息づく、音質・機能・デザインすべてにおいて妥協を許さない、ゼンハイザー「MOMENTUM」シリーズのノイズキャンセリングヘッドホンが第5世代へと進化を遂げた。VGPアワード金賞に輝いたその実力を、評論家の海上忍氏が解説する。
静けさの中に際立つ、スピーディーでクリアな音
運動量を意味する「Momentum」、瞬間を意味する「Moment」ともども、ラテン語のmōmentumに由来する。古代ローマ人は、動力と時間に何らかの関係性を見ていたのかもしれない。
ゼンハイザー「MOMENTUM」もまた、部品の働きが製品の質を決めるオーディオ機器にあって、ダイナミック型ドライバーの振動板の運動量・瞬間の動きを追求することに開発の照準を定めている。ノイズキャンセリングヘッドホン「MOMENTUM 5 Wireless」はその第5世代機、さらに洗練の度合いを高めている。

- SENNHEISER「MOMENTUM 5 Wireless」オープン価格(直販サイト価格 69,960円/税込)
ドライバーはφ42mm、技術的には円熟の域に達しており、サイズこそ従来から継続だが、ハウジング周辺を丁寧に確認すると改良の跡が見えてくる。ベント孔がヘッドバンドとハウジングの接続部下に確認できるほか、ハウジングの厚みがわずかに拡大している。つまり、本機ではサウンドチューニングが一新されている。実際、開放型ヘッドホンの名機「HD 600」シリーズの音質傾向を意識して改良されたそうで、サウンド面は一から再検討されていると考えるべきだろう。
従来モデルと聴き比べると、違いは一聴して感じ取れる。キース・ジャレットと盟友チャーリー・ヘイデンのデュオアルバム『ジャスミン』では、従来はわずかに膨らみ気味だったウッドベースの音がスリムになり、ピアノのタッチも軽やかに響く。音が痩せたのではなく、レスポンスが速くなり、付帯音が低減したという意味だ。
ゲイリー・バートンとチック・コリアの共作『クリスタル・サイレンス』も進化がわかる好例だ。バートンの弾くヴィブラフォンは、動きが軽快で、一音一音の輪郭を掴みやすい。ヴィブラフォン独特の”弾む”印象が変わるから、長年聴いたアルバムも新味が出るというものだ。
なお、本機はaptX Adaptiveに加えて、aptX Losslessにも対応、最大96kHz/24bitのハイレゾワイヤレスおよびCD品質のロスレス再生が可能だ。内蔵USB DACを利用したハイレゾ/ロスレス再生もサポート、USB Type-CケーブルでPCやスマートフォンと接続すればコーデックを気にせず、Hi-Fiサウンドを楽しめる。

外装にも細かい変更が確認できる。ベント孔など数カ所にメタルパーツが採用され、ちょっとしたアクセントがプレミアム感を醸し出している。付属のケースがスリム化され、持ち運びやすくなったことも好得点。また、内蔵マイクの数が片側2基から片側4基(合計8基)へと倍増し、ゼンハイザー史上最高クラスのアクティブノイズキャンセリングを実現している。電車や航空機でも静けさの中で音楽を堪能でき、とても快適だ。

外音取り込みも強化されている。そのほか空間オーディオ、サウンドパーソナライゼーションにも対応するなど、機能面でも多彩だ。また、新たにバッテリーが交換できる構造になったこともトピックだ。
人生において音楽は瞬間(Moment)に喩えられるほど短いものだが、共に暮らせば勢い(Momentum)を感じさせてくれるかけがえのない存在。今度のMOMENTUM 5 Wirelessは、そのような暮らしを期待させてくれる快作だ。
自分らしく使いこなせる「Smart Control Plus」
専用アプリ「Smart Control Plus」(iOS/Android)に対応。新搭載の8バンドEQやサウンドモードに加えて、いくつかの質問に答えるだけで自分の好みの音へ自動調整する「サウンドパーソナライゼーション」機能を搭載する。ノイズキャンセリングと外音取り込みの調整、ドルビーアトモスの設定、マルチポイント接続の管理もできる。
製品プロフィール
ノイズキャンセリングヘッドホン
Sennheiser
MOMENTUM 5 Wireless
オープン価格(直販サイト価格 69,960円/税込)

SPEC ●通信方式:Bluetooth 5.4 + Class 1 ●コーデック:SBC、AAC、aptX、aptX HD、aptX lossless、aptX adaptive ●ドライバー口径:42mm ●再生周波数特性:6~40,000Hz●インピーダンス:520Ω(アクティブ) ●連続再生時間:最大57時間(ANC ON)●重量:約290g ●付属品:キャリングケース、充電用USB Type-Cケーブル、オーディオケーブル

