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<深圳ショウ>オーディオ評論家、岩井喬さんがSIAS会場で注目したアイテムは?

2026年、マニアが注目すべきヘッドホン関連アイテムの新星たち

岩井 喬
2026年9月1日更新
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    岩井 喬

2026年8月14日から16日まで、中国・深圳で開催されていた『第20回深圳国際オーディオショウ(SIAS2026)』。そこで出展されていた製品の中から印象に残った5製品をピックアップしてみたいと思います。筆者は昨年からSIASを訪れていますが、近隣の香港のオーディオショウと近い日程のため、メーカー(もしくは中国国内の輸入代理店)によっては同じ製品を出展するケースも見受けられます。ただしSIASは“オーディオ/コスプレ/コーヒー”そしてライブコマースという異文化のクロスオーバー、さらに10代後半~30歳代の若年層のオーディオファンに向けた数多くの音体験の場であること、また、イヤホン/ヘッドホンからHi-Fiオーディオまでのシームレスな誘導を行う場としても機能しており、“オーディオ文化の継承”という側面も持ち合わせたイベントです。故に出展の中心はイヤホン/ヘッドホンで、エントリークラスからミドルクラスの製品を手厚く紹介している印象を受けます。

水月雨(MOONDROP)初のコンデンサーヘッドホン「MOONZERO」

数多くの出展のなか、最も強く印象に残った製品は水月雨(MOONDROP)初のコンデンサーヘッドホン「MOONZERO」です。詳細は後日ファーストインプレッションとしてお届けする予定なので、そちらをご覧いただきたいと思います。実は昨年のSIASでも水月雨ブース内に試作機としてコンデンサー型ヘッドホンが出展されており、その時はモデル名や発売時期さえも未定で、サウンドチューニングが異なる2セット(ボーカル特化/クラシック特化)が置かれていました。そこで来場者からの声も反映させて完成へとこぎ着けたのだと思いますが、実に滑らかでコンデンサー型らしい繊細で解像度の高い音を聴かせてくれていました。

Sendy Audioからハイブリッド型イヤホン「Oriole」が誕生!

2モデル目はSendy Audioのイヤホン「Oriole」です。姉妹ブランドSIVGAでも同名のヘッドホンがあるので、発売時には型名が変わるかもしれませんが、使用ドライバーは、ダイナミック型と平面型、3基×BA型、MEMSというハイブリッド構成です。まだ試作機ということで高域のバランス、質感に課題があるようでしたが、ボーカルや楽器のハリ感が鮮やかで、低域方向の密度も高く、リッチなサウンド傾向です。Orioleを含め、この夏から秋にかけ、外部電源を必要としないMEMSドライバーを積むイヤホンがいくつも登場しており、新勢力となりそうな予感があります。

同じSendy Audioブースでは名称がないと紹介された製品についても補足的に触れておきたいと思います。使用ユニットは12mmダイナミック型ドライバー&6mm丸形平面ドライバー構成ということで、7月の『ポタフェス』でも出展されていた、エントリークラスイヤホン「Lark」の試作機と思われます。バランスが良く伸びやかで、弦楽器の艶感や低音パートの厚みもちょうど良い質感でした。こちらも完成版が楽しみです。

ダイナミック型1発の新たな傑作「Miracle One」

そして3モデル目はAFULのイヤホン「Miracle One」です。シングルBA型「Magic One」のダイナミック型ドライバーバージョンともいえる内容で、6mmドライバー1発の構成です。Magic One同様に、ドライバー背後に巻貝状リアキャビティを設け、低域応答を高めているようです。緻密で伸び良くスムーズなサウンドで、ボーカルの質感も自然でバランスが良いです。見通しの良い空間表現も相まって、クラシック音源でも適度に分離良く滑らかなハーモニーを楽しむことができました。現地価格からすると約3万円ということで、AFULを代表する、新たな標準機となり得る魅力を持つイヤホンです。

Woo Audio真空管ヘッドホンアンプ「WA24 20th Anniversary Edition」

続く4モデル目はWoo Audioのハイエンド真空管ヘッドホンアンプ「WA24 20th Anniversary Edition」です。会場を歩いていて気付くのは真空管ヘッドホンアンプの多さです。まだ日本に紹介されていないものも多いですが、デザインを含め、幾分チープな印象を受ける製品も少なくありません。その中でアメリカのWoo Audioはスタイリッシュなデザインで他を圧倒しています。通好みな真空管セレクトでもマニアに知られたブランドであり、このWA24も海外のイベントで何度か紹介されていますが、すこぶる評判が良いです。使用している真空管は韓国Stradi Tube製の直熱三極管「3A/109E」です。ストラディバリウスの名が由来というStradi Tubeは、2018年に創業した現在では韓国唯一の真空管製造会社Zero Mountain Companyが手掛けるブランドです。外観はクラシカルですが、ラダー状フレームグリッドや3重マイカなど、内部構造は現代ならではの技術で改良されたつくりが特徴です。3A/109Eは英STC社製「3E/109」(ウェスタンエレクトリック製「WE104」と近しい仕様)を基にしたものです。またアップグレード用として、より高級なStradi Tube製「PP3/250」も選択できるといいます。WA24は自社製大型出力トランスを用いる無帰還A級シングルアンプ仕様です。内部はバランス構成で、3A/109Eが左右/ホット&コールドでそれぞれ1本ずつ、計4本使用するスタイルです。ボリュームはソニー「DMP-Z1」でも使用していたアルプス製「RK50」を装備しています。200万円以上の超高級機ですが、日本市場でも導入してほしい一台です。

iBasso Audio高音質技術を結集したDAC搭載ヘッドホンアンプ「KAILUSH」

最後、5モデル目に紹介するのはiBasso AudioのデスクトップDAC/ヘッドホンアンプ「KAILUSH」です。弩級DAP「DX340 MAX」のDAC/プリ部を据え置き型へ展開したような構成で、先行して販売されているアナログヘッドホンアンプ「KUNLUN」と同じサイズ感・意匠コンセプトを踏襲しています。160素子による電流モードPWM-ディスクリート1bit・DACを搭載し、FPGA-Master 3.0テクノロジーとフェムト秒クロックによる高精度かつ低ジッターなD/A変換を実現しています。また音量調整にはDX340MAXと同様にアナログアッテネーターとデジタルボリュームを組み合わせたデュアルボリュームコントロールシステムとし、ビット落ちの影響を回避しバックグラウンドノイズ低減に繋げています。アナログ出力もKUNLUNと近いハイパワー仕様で、電源部のトロイダルコアトランスも同じ25W仕様を搭載しています。DX340 MAXをより理想的な環境で再構築し、これまでiBasso Audioが培ってきたテクノロジーの真価を体感できるプロダクトとなっているようです。

これら5モデル+αのみならず、SIAS2026には魅力的な製品が数多く出展されていました。日本のイベント以上に若いエネルギーに溢れた祭典といった様相であり、これからも異文化交流の場として発展していってほしいと感じた次第です。(岩井 喬)